味噌天神の家 House in Misotenjin

Kumamoto-city Kumamoto 2018 build a house

味噌天神の家 熊本県熊本市 2018 新築 

 

 

未来へ紡ぐパッチワーク

 

熊本地震の復興住宅。永くご家族で生活を続けて来られた住宅が、熊本地震の影響で全壊は免れたもののそのままでは生活を継続していくことができなくなり、同時に周辺環境の変化に伴い思い切って建て替えを選択されることになりました。

 

敷地は南北にピッタリ建物が隣接しており、東西は抜けているものの、西側には10階建てのマンションが新築され、プライバシーを確保しにくい状況なってしまった。前面道路も電車・バス通りに接続するため、抜け道でもあり車の往来が激しい場所。そんな状況下でも以前のように快適に過ごしたいというご要望に応えるために計画しました。

 

以前は敷地に目一杯建物が建っており、車を止める場所も無く、玄関を開けるとすぐに交通量の多い道路に出てしまうため、車を止めるスペースと共に敷地に余白を持たせて、狭小ながらもゆとりを感じられる計画とした。

 

子育てが終了しご夫婦だけのシンプルな生活を満足させられる住まい。1階は出来るだけオープンに友人や知人を招いて楽しく過ごせる居酒屋のような空間。これは以前の住まいが元々写真スタジオを自宅にされていたため、1階はオープンで仕事の打合せスペースとなっていたことに通づる。不意に玄関を開けられても『どうぞ!』と言えるようなアットホームな空間を成立させるため、それ以外のスペースは極力プライバシーを確保できる空間とするため、スキップフロアで構成する空間を提案しました。

 

 

1階はオープンLDKとして使用するが、オープンなスペース。そっから半階上がって水回りのあるセミパブリックなスペースと、イラストレーターである奥様の小さな作業スーペースがあります。そこから半階上がって寝室とウォークインクローゼット。寝室と繋がって広めのバルコニーがあり、目の前のマンションからの視線を意識しないで生活が出来るスペース。寝室から更に半階上がって1つの個室。唯一東側に大きな抜けと窓がある部屋で、南側の建物の屋根の上に窓を取っているため、唯一視線を気にしなくて良い開放的な空間。

 

道路に面していても、周辺環境に恵まれず、上に伸びた空間になっているため、太陽光を高いところからスキップフロアの吹き抜けを通じて採光しなければならず、洞窟のような空間。その光をうまく壁に質感を持たせて下まで光を届けたいため、壁面に様々な仕上を使用し、表情に変化を持たせた。それはパッチワークのようであり、場所によって、光によって素材の違いがわかるようにデザイン。地震によりこれまで住まわれてきた愛着ある家を手放さなければならなくなりましたが、ご家族で新しい未来を紡ぐような住まいになることを願っています。

 

 

熊本の家(熊本県熊本市)

木造2階建住宅 在来工法

1階床面積:38.10㎡(11.52坪)

2階床面積:31.61㎡(9.56坪)

床下収納床面積:2.49㎡(0.75坪)

延床面積:69.71㎡(21.08坪)

 

設計・監理:設計事務所アトリエボンド

施工:株式会社イワイホーム