KYOMACHI SARYO TOKUNAGA

Kumamoto-city Kumamoto 2021 Restaurant design


KYOMACHI SARYO TOKUNAGA 熊本県熊本市 2021年

 

 

『記憶の継承』

 

2年後100周年を迎える地元熊本県内でも有名な鰻店からの新店舗の依頼。

100周年を前に、これからは鰻だけでなく『食のプラットフォーム』として、

食と時間と空間を楽しめる、次の100年に引き継ぐ店舗の在り方を考えた。

 

初めて敷地を訪れたのは、2016年の熊本地震直後だった。

以前デザインさせて頂いた住宅(京町の家)の被災状況の調査の後、

近くに唯一倒壊した建物があると聞き、地震の状況確認のために訪れたのがきっかけだった。

 

それから4年が経ち、今回の依頼を頂き伺った敷地が4年前に見た倒壊現場だった。

しかし4年前に漂っていた負の空気はそこにはなく、大きく開けた敷地の東の空に満月を見た。

その瞬間、『月を背負う建築』というキーワードが浮かんだ。

 

熊本市内の飲食店の多くは市街地に集中しており、外の風景を取入れた空間は少なく、

この京町というエリアが持つポテンシャルを活かした空間を考えた。

熊本県は元々石工の文化があり、熊本城の石垣『武者返し』に代表されるように、

熊本市内でも石を使った建築やデザインが見られる。

 

熊本地震で見事に耐え抜き、早くに天守閣の復活を果たし、熊本県民の復興の希望である熊本城のように、

被災した負のイメージを払拭すべく、力強さがありながら『月を背負う建築』として、

高さを抑え軽やかに夜空に浮かび上がるようなデザインとした。

 

外観は高さを抑えた建物となっているが、内部は広がりを持たせた空間となっている。

初めて熊本城を訪れた時の印象となっていた、複雑に交差する通路をこの空間で再現したいと思った。

広い空間や狭い通路、上から下を見下ろせる場所、熊本市内を一望出来るなど、

様々なシーンを作り出すことで、『食のプラットフォーム』として食を中心とした時間を楽しめる空間とした。

 

食事も鰻だけでなく、和食から洋食、スイーツまで楽しめる『食のプラットフォーム』が誕生した。

 

 

京町茶寮徳永 KYOMACHI SARYO TOKUNAGA

 

住所 〒860-0074 熊本市西区出町1-3

TEL 096-288-4344

web https://tokunagakita.com/kyomachi/

 

 

1階床面積 403.23㎡

2階床面積 387.10㎡

3階床面積 147.48㎡

延床面積   937.81㎡(283.68坪)

 

クライアント     株式会社徳永

トータルプロデュース 佐藤彰事務所

デザイン監修     設計事務所アトリエボンド

設計・監理      NEAD環境計画設計

インテリアデザイン  設計事務所アトリエボンド

施工         小竹組

CIデザイン      佐藤彰事務所毛利デザイン設計事務所アトリエボンド