Muko-city Kyoto 2010 renovation
新田フラット 京都府向日市 2010 リノベーション
築約50年以上経過した長屋の室内全面リノベーション。
5年近く人が住んでいなかったため、内装の痛みもひどく、植物が侵入したりととても人が住める環境ではなかった。50年以上建っているだけあり、隣近所は同じ位お年をめされた方々ばかり。かなり高齢化が進んでいる。これからの日本の過去の新興住宅地を象徴しているような場所。国をあげてストック住宅の推進をはからなければならない時代を迎えるにあたって、こうした誰も住まない、ある種地域から見放された住宅にスポットを当て、もう一度その輝きを取り戻すためのリノベーション。
こうした見た目古臭い住宅は素人目には『構造もボロボロ』と思われる方が多いが、プロの目で調査した所、無筋ではあるが基礎もあり、構造の核である木材も一部を除きしっかりしているため、補強等をキッチリと行えばあと20年は十分に活用できる事がわかった。そこで、補強工事と同時に断熱工事(断熱材は一切入っていなかった)を中心に行なった。
今回は元々平屋だった建物に一部ロフトを設け、そのロフトを造るために、構造を補強しなおした。天井高が低いため、ロフトの床部分(1階の天井部分)を現しにして、高さを稼ぎながら、木目の優しい雰囲気を全面に強調したデザインとした。
1階の床は無垢の栂のB級品を仕入れ、ロフトの床はから松の厚パネルを使用。壁には漆喰を塗り、ダイニングの一部にオランダから輸入したシルバーのクロス張りとし、上品な空間を演出。浴室はFRP防水で床を作り、壁は無垢のサワラを使用。狭いながらも温泉に入っているような、木の香り漂う浴室となった。キッチンと家具はアトリエボンドオリジナルデザイン&製作。ロフトはベッドルームとセカンドリビングとなり、NYのロフトをイメージしたカジュアルな空間とし、既存の雰囲気を一新した空間となった。
これぞリノベーションの醍醐味だと思うプロジェクトです。