アンノウンカフェ Unknown Cafe

Unknown Cafe 2021 Cafe design

アンノウンカフェ 京都府向日市 2021年 店舗デザイン

 

受け継ぎ受け渡すもの

 

 竹や竹林で有名な地域で計画した筍の加工食品と自家焙煎のコーヒーを提供するカフェの計画である。アトリエボンドでデザインした『梅ノ木のアパート』の1階のテナントの店舗デザイン。元々この地域は古くから都と地方を繋ぐ街道があり、少し離れた場所には宿場町があった。その昔平安京以前に長岡京という10年で遷都した都があった地域で、多くの遺跡や歴史も残っているが、今の街の風景からはなかなか想像し難い。またこの敷地に元々蔵が建っていたのだが、傷みも激しく老朽化していたため、解体せざるを得ない状況であったが、その歴史も風景も無くなってしまうのは非常に勿体無いと思い、少しでも受け継ぎ記憶として残せるものが作れないかというところからスタートした。

 

 綺麗な竹林のある地域であるということと、筍の加工食品を販売するということで、カフェのデザインにもさりげなく竹を使い、また蔵の扉を再利用して街道の宿場町にあった茶屋のように、気軽に休憩出来て、コーヒーを飲んだり、会話を楽しんだり、筍の加工食品をお土産に買って帰られるような、茶屋の役割を持たせたようなカフェを目指した。

 

 店舗の入口には蔵の戸を使用し、閉店時にはこの扉を閉じて、営業中は開けておくことで、元々の蔵の扉の役割を持たせた。入口を入ると緑のグラデーションの壁を配置し、竹林の爽やかな青竹を感じられる空間とし、店舗のアイコンとして認知されることを狙った。販売スペースの空間を抜けると桜の木で統一した懐かしい喫茶店のような落ち着いた雰囲気のカフェ空間があり、カウンターと大きなテーブルで構成される。南側の大きな開口部から晴れた日には気持ちの良い光が差し込み、心地よい空間の中で自家焙煎されたコーヒーを楽しむ事ができる。

 

 駅前ながら店舗が少なくカフェがないため、地域の人の拠り所がなかった。このカフェが出来ることで、少しでも多くの人が駅前に滞在し、市外から訪れた方もこの街を知るきっかけとなり、このカフェが出来て人がより良い交流をすることで、更に新しい店舗が出来て、この街の活気を創出することを願っている。

 

 

 

 

計画種別:店舗デザイン

用途:飲食店

構造:

面積:店舗床面積:57.66㎡

   

設計監理:設計事務所アトリエボンド

施工:株式会社紬

 

材料:山桜の床材(アトリエボンド)